【25日目】α波とビッくらポンの日

ここのところ気温が急激に下がっている。本格的なひきこもりシーズンの到来である。

アウトドア派の方からすれば嫌悪感を抱かれるかも知れないが、私はとにかく狭い空間にひきこもることを好む。都内の手狭な賃貸マンションの一室、その中でも温かい毛布と柔らかいマットレスを備えたベッドの上は至高の空間と言えよう。

幾冊かの本とノートパソコン、手軽に食べられるお菓子と飲み物をベッドサイドに用意すれば、もはや動く必要性は皆無である。

好きなだけ本を読み、気が向いたらパソコンで勉強し、眠くなったら惰眠を貪り、空腹を感じればブラックサンダーと珈琲で腹を満たす。こうして活字に起こすと清々しい程のダメ人間である。

しかしこの堕落に満ちた生活も意外と侮れないもので、何かしらの困難に突き当たった時、微睡みながら解決策を考えていると、良いアイデアが次々に思い浮かぶ。

何故かと思って調べたところ、人間はリラックス状態になるとα波が発せられ、脳が情報を整理するのに最も適した状態になるらしい。……つまり私は究極の怠惰を追い求めた結果、最も効率的な思考法を自然と身に付けてしまったのだ。

今日も私は圧倒的な閃きが得られることを期待して、明け方から夕方頃まで微睡みと覚醒の狭間をさまよっていたが、結果として何もアイデアは得られなかった。ターミナルの黒い画面が夢に出てきたが、恐ろしいエラーメッセージの数々に苦しめられただけだった。正夢にならないことを祈るばかりである。

しかし流石に一日の食事がブラックサンダーだけでは栄養面が心配なので、夕食は無添くら寿司さんにお邪魔した。ファミリー層に人気のくら寿司さんだが、今夜は意外と空いていて、わずか3分ほどの待ち時間で案内されることになった。普段なら入店に30分近くかかることも珍しくないそうなので、奇跡的な短時間である。

「もしやこれは先程までの惰眠によって蓄えられたα波の恩恵では？」と私は考えたが、恋人も隣に居る手前、口にすることは控えた。

しかしもしα波の影響だと仮定すれば、その威力はこの程度では済まないだろう。何せ今日は一日中眠って何の閃きも得られてないのである。溜まりに溜まった鬱憤の如く、どこかで発散されても不思議ではない。

私は黙々と寿司を平らげ、くら寿司さんの名物「ビッくらポン！」に挑戦した。ご存知の方も多いと思うが、これは寿司の皿を5枚消費することで抽選ゲームを行い、当選すると豪華景品が頂けるという太っ腹な遊戯である。

今の期間はハロウィンにちなんで、ポムポムプリンの限定グッズが手に入るとのことだ。前回挑戦した時はお皿25枚（5回挑戦）で当たり無しという残念な結果だったが、今回は果たしてどうなるか。

α波の力を信じて液晶を見つめていると、なんと1回目から当選してしまった。この結果には私も恋人もビッくらポンである。さらに5回目の挑戦、結果はあえなく落選……かと思いきや、まさかの復活演出で再び当選するという奇跡が起きた。ビッくらポンポンである。

景品はどちらもマスキングテープで、本音を言えばラバーストラップが欲しかったところだが、贅沢は言うまい。メルカリに出せば1000円の値がつく代物である。

それよりも今日はα波の威力を検証できたことが大きい。もはや記憶力や集中力の枠を超え、念動力の領域に辿り着いているのではないだろうか。来週の週末も朝から張り切って検証してみたい。

※追記1

マスキングテープが欲しい方はお気軽にお声がけ下さい。お子さんへのプレゼントにお勧めです。決して処分に困っている訳ではないです。

※追記2

くら寿司さんは揚げ物やスイーツも美味しい。今日は新しい寿司ネタにも挑戦したくて「うなトロ」を注文してみたが、これはなんと言うか、すごかった。すごかった……。