ひきこもりろん

広告ライターからエンジニアに転職し、現在はYouTuberデビューを目論んでいる「ひきこもり志願者」が日々の妄想を書き散らかすブログ。

【26日目】ボンボンと少年時代の日

私は基本的に争いを好まない人間である。しかし幼少の頃を振り返ると、ただ一度だけ大きな派閥争いに巻き込まれたことがある。それ即ち、コミックボンボン派とコロコロコミック派の闘争である。

コロコロコミックは言わずと知れた人気少年漫画雑誌である。1977年の創刊から2017年現在に至るまで小学館から刊行されており、小学生男子にとっては永遠のバイブルとも言えるだろう。ハイパーヨーヨーミニ四駆、ビーダマンに夢中になった方も多いはずだ。

現在もポケモン妖怪ウォッチスプラトゥーンなどの人気ゲームとタイアップした豪華な連載陣が好評を博している。

一方、コミックボンボン講談社が発行していた人気少年漫画雑誌である。1981年にコロコロコミックに対抗する形で創刊したが、 2007年には休刊(事実上の廃刊)となってしまった。こちらもガンダムロックマンなどの人気コンテンツを擁してはいたが、コロコロコミックと比較するとややニッチなラインナップだったように思える。

私は当時から天の邪鬼な性格だったので、コミックボンボンで連載していた『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』をこれ見よがしに読んだりしていた。「ボンボンは少し大人向けの読み物なんだよね」と言わんばかりである。葉書を投稿して紙面に掲載された日には、クラスの友人たちに大いに自慢したものだ。我ながら可愛げのない子どもである。

しかし時が経つにつれて、周りの友人たちはコロコロやボンボンと疎遠になっていった。週刊少年ジャンプで『ワンピース』の連載が始まったことも大きかったと思う。『ドラゴンボール』『ジョジョの奇妙な冒険』『遊戯王』『HUNTER×HUNTER』『SLUMDUNK』など、今なお根強い人気を誇る伝説的な作品の数々に、少年たちの心は釘付けになった。

私は少し寂しかった。確かにジャンプは面白い。毎週新しい話が読めるのも魅力的だ。しかし、おこづかいの500円玉を握りしめてコミックボンボンを買う楽しみを、みんなは忘れてしまったのだろうか。一カ月間、大好きな作品を何度も何度も読み返して、次の話を心待ちにしながら眠りにつく。そんな日々が私は大好きだった。

やがて周りに流されるかのように、私もコミックボンボンを読まなくなった。一番好きな作品だった『海の大陸NOA』の作者・じゅきあきら先生が目のご病気を患われてしまい、休載になってしまったことが引き金になったと思う。

進学するにつれて漫画そのものを読む機会が減っていったが、ある時バイト先の友人とコミックボンボンの思い出について語った日があった。ちょうど同年代だったこともあり、彼の口からは私の大好きだった作品の名が次々と挙がる。何だか嬉しい気持ちになった。

ひとしきり好きな作品について語り終えると、彼は最後に衝撃的な一言を発した。

「そういえば、海の大陸NOAって連載再開したらしいよ」

私は自分の耳を疑った。あの休載から、すでに7年近い時が経っている。もはや続きを読むことは叶うまいと思っていた作品に、また会える日が来たと言うのか。

私はいてもたっても居られず、街中の本屋を探し回った。その胸の高鳴りは少年の頃と変わらないまま、あるいはそれ以上である。大好きな月刊誌を再び手に取るまで、7年もの時を待ち続けたのだから。

何とかコミックボンボンを手に入れると、私は急いでページを捲った。最初からゆっくり読むのも楽しいものだが、私はお気に入りの作品から真っ先に読みたい人間だった。

残念ながらその号に『海の大陸NOA』は掲載されていなかったが、久々のボンボンはとても楽しかった。懐かしい作家さんの名前も並んでおり、この空白の7年間もずっとボンボンの歴史が続いていたことに感動すら覚えた。

さらに後日、オンライン書店で『海の大陸NOA』の新巻も手に入れることができたので、私の少年心は大満足である。……まさかそれから数年でボンボンそのものが休刊になるとは思いもしなかったが、あの時もう一度ボンボンに再会できたことは今でも良い思い出である。

気付けば今年は2017年。ボンボンが休刊してから更に10年の時が経ってしまった。今でもTwitterを検索すると、あの頃好きだった漫画家の先生たちが次々に見つかる。

いつか何らかの形で、ボンボンを復活させることはできないのだろうか。きっと楽しみにしている読者は大勢いるはずである。講談社の編集部の皆様、何卒ご検討をお願いします。

 

※追記1

Twitterじゅきあきら先生を見つけた時、私のテンションは朝から最高潮になった。すかさずフォローして過去のツイートを読み漁り、気分はストーカーである。

 

※追記2

本当はコロコロコミックも大好きである。