ひきこもりろん

広告ライターからエンジニアに転職し、現在はYouTuberデビューを目論んでいる「ひきこもり志願者」が日々の妄想を書き散らかすブログ。

【69日目】茶色い弁当と大盛りの日

私が務めている会社の周りには、何軒かの弁当屋が建ち並んでいる。普段はコンビニのサンドイッチで昼食を済ませる私だが、今日は先輩の誘いもあって弁当を買うことにした。

私たちが贔屓にしているのは、通称「茶色」と呼ばれる弁当屋である。何故「茶色」なのかと言えば、おかずのほとんどが揚げ物で全体的な色合いが茶色っぽいからである。

この弁当屋の優れている点は、なんと言ってもコストパフォーマンスである。日替わりの幕の内弁当は630円で、コンビニの弁当と比べると少々値が張るものの、その味は無類である。

さらにボリュームも凄まじく、今日は巨大メンチカツと唐揚げ、煮魚にパスタサラダに漬物という豪勢な内容だった。人気の唐揚げ弁当には「これでもか」と言わんばかりに唐揚げを詰め込まれるので、男性でも完食が難しいほどである。まさに庶民の味方。

私は昼時に席を外すことが出来なかったのだが、心優しいイケメンの先輩が私の分まで買ってきてくれた。有難い限りである。皆で休憩スペースの座席を確保した後、先輩から弁当を受け取ったのだが、蓋を開いて1つの違和感に気付いた。

ごはんが明らかにいつもより多い。同じ幕の内弁当のはずなのに、上司や先輩のそれとは明らかにごはんの量が違った。何せ蓋の裏側にも米粒が張り付くほどである。

私は思わず口にした。「何だか今日、ごはんの量が多くないですか……?」と。その言葉に先輩はすかさず反応した。よくよく事情を伺ってみると、3人分の弁当を受け取る際に、「1つは大盛りでよろしかったですか?」と謎の確認をされたらしい。

もちろん3つとも普通盛りだったので、先輩は「いいえ」と答えたそうだが、店員さんは少し不思議そうな表情を浮かべただけで、結局そのまま受け渡したとのことだった。

夜は白米を2合ほど平らげる私だが、昼からの大盛りはなかなか応えた。皆が早々に食事を終えて『どうぶつの森』で遊び始めても、私の目の前にはごはんの山がそびえ立っていた。

もしかしたらゴールド・エクスペリエンス・レクイエムの一撃を喰らって、永遠の巻き戻しに取り込まれたのでは無いだろうか。そんな疑念すら頭をよぎったが、当然そんな訳は無いので黙々と食べ続ける。

繰り返すようだが、味は本当に良いのだ。しかし「水を飲む」という行為も度が過ぎれば醜悪に写るように、絶え間ない食の連鎖が私の身体を襲った。

後半の記憶はほとんど残っていない。強いて言えば、先輩が『となりのトトロ』の英語版主題歌を口ずさんでいた気がする。「あ・る・こー!あ・る・こー!」のフレーズが「歩みを止めるな」というメイちゃんからの司令に聞こえた。

結果として全て食べ終えることが出来たが、22時半を過ぎた現在も私の胃袋は依然圧迫されている。茶色弁当、恐るべし。

 

※追記1

ここのところ歳のせいか、身体の衰えを感じる。胃もたれもそうだが、土曜日に美容室の予約に遅れて走り回った結果、今ごろ筋肉痛になった。不老不死の研究を急がなければならない。

 

※追記2

英語版の『となりのトトロ』は、何だか物凄く都会的な印象を受けた。サツキもメイもペラペラである。街中で話しかけられたら萎縮するに違いない。あの姉妹に恐れを抱いたのは初めてのことだった。