ひきこもりろん

広告ライターからエンジニアに転職し、現在はYouTuberデビューを目論んでいる「ひきこもり志願者」が日々の妄想を書き散らかすブログ。

【17日目】散髪と事前準備の日

先日の日記で宣言した通り、今日は朝から散髪に出掛けた。 

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三連休の初日、それも午前中から外出するなど、ひきこもりらしからぬ行為である。ポコポコの亜人コラボで遊びながら電車に揺られること数十分、目的のヘアサロンに到着した。

今に始まったことではないが、ヘアサロンでカルテを書いている時間は大変に緊張する。周囲を見渡せば華やかなスタイリストが立ち並び、シャンプーとトリートメントの優しい香りが鼻腔をくすぐる。

BGMは若者に人気のR&Bで、曲が途切れると店内の楽しげな会話が耳をつく。あまりにも場違いな空間に足を踏み入れてしまったと後悔したが、もはや後戻りはできなかった。

 

アシスタントに導かれるままに洗髪を余儀なくされ、タオルで水気を吸い取るといよいよ恐怖の時間が始まる。本日の担当と名乗る男性が私の後ろに立ちはだかり、緊張は最高潮である。彼はゆっくりと口を開き、私に尋ねた。「今日はどんな感じにしますか?」

 

「もう好きなようにしてくれ!!!」と叫びたい気持ちを必死に抑え、私は逡巡する素振りを見せる。いつもなら拙い言葉で要望を伝えるところだが、今日は伝えるべき内容を事前に考えてきたため、いくらか気持ちが楽だった。やはり事前準備は大切である。

 

意を決した私は、「ヘアカタログを一通り眺めてみたが自分の希望にあう髪型が見つからないので、たまにはスタイリストさんの判断に任せて自由に切って貰おう」と考えた風を装って、「全体的に短くして貰えれば、あとはおまかせします。最高にカッコ良くして下さい(笑)」と伝えた。

この(笑)が非常に重要である。満面の笑みではなく、少し困った様子を織り交ぜて発言することで、「ヘアカタログには自分の希望の髪型が見つからなかった感」を有効にアピールできる。

作戦は見事に成功し、担当と名乗る男性は爽やかな笑顔で「かしこまりました」と答えた。勝利の二文字が私の脳裏に浮かぶ。そうだ。私は数々の困難を乗り越え、スタイリストとのコミュニケーションを取ることに成功したのである。

 

細かい要望を伝えなかったことが功を奏したのか、彼はあらゆる制約から解き放たれたかの如く辣腕を振るった。今回はカットのみと伝えていたので、所要時間は1時間にも満たなかった。

会計を済ませて店に出ると、朝の悪天候が嘘のように晴れわたっていた。まるで今の私の心境そのものである。早々に帰路につこうとした私だったが、新しい髪型を冷静な目で見てみようと思い、駅のお手洗いへ立ち寄った。福士蒼汰のようなイケメンに生まれ変わっていることを祈りながら。

 

恐る恐る鏡の中を覗くと、そこには紛れもなく福士蒼汰とは程遠い私の顔が映っていた。髪型だけでイケメンになれるほど、世の中は簡単ではないのである。

 

※追記1

せっかくなので髪をセットしてもらったのだが、尋常ではない量のスプレーを浴びせられて肺胞が心配になった。今の私の髪の毛は鋼鉄の如く固められている。

 

※追記2

スタイリストを自宅に派遣できるサービスが欲しい。家から出るの怖い。