【15日目】写真撮影と決断の日
今朝は訳あって写真撮影に参加することとなった。
広告制作の仕事に従事していた頃、私は常に「撮る側」の人間だったので、いざ「撮られる側」に立たされると緊張で過呼吸に陥りそうになる。芸能人やモデルさんのように強靭なメンタルを身に付けたいものである。
これは写真に限った話ではないが、人間が最も魅力的に写るのは「笑顔」の瞬間だと思う。たくさん笑う人を眺めていると、何やらつられて楽しい気分になるものだ。
私の本性はナメクジのように陰湿で根暗だが、せっかく写真を撮られるならば全力の笑顔で対応しようと気を引き締めた。かつて「よゐこ」の濱口さんが演じた「笑う男」のように、ひたすら笑い続けてやるのだ。
撮影は滞りなく進んだが、後に出来上がった写真を見て私は驚愕した。伸び過ぎた前髪と眼鏡によって、チャームポイントであるつぶらな瞳が隠れてしまっている。
そのくせ口角だけは妙に上がっていて、控えめに言ってもオタクかマッドサイエンティスト、控えずに言うなら一人暮らしの女子大生の部屋に監視カメラを仕掛けて日々の生活を観察する変態のようだった。
世界ひきこもり連盟の次期会長と期待される私だが、この無残な姿を見ては流石に美容室へ行かざるを得ない。愛するマイハニーも「髪を切れ」と日頃から仰られているので、今週末こそ散髪に出掛けるつもりである。
美容師さんには「最高にカッコ良くして下さい」と一言でオーダーするつもりなので、どのような結果になるか私にも想像がつかない。福士蒼汰さんのようなイケメンに生まれ変わる可能性も捨てきれないため、つい心が弾んでしまう今日この頃である。
※追記1
都内にはメンズヘアサロンの「三強」と呼ばれる勢力図が存在する。私も以前その一角に赴いたことがあるが、彼らの実力は本物だった。しかし突然の変わりように上司からは爆笑された。
※追記2
前回髪を切ったのは、確か健康診断の前日だった気がする。少しでも体重を減らそうと考えたのだが、結果は惨敗だった。