【7日目】カメムシとせせらぎの日
家に帰ると真っ先にテレビでYouTubeアプリを立ちあげるのが私の日課である。しかし、昨夜は珍しくニュースを見た。もうそろそろ良い歳なので、時事ネタの1つでも語らねばなるまい。いつまでもハッピーセットや仮面ライダーの話をしているわけにはいかないのである。
ニュースによれば、ここのところ鹿児島県でカメムシが大量発生しているらしい。自販機の中や道路脇のフェンスに大量のカメムシが群がる様子が流され、報道キャスターの首筋にも留まっていた。
東京で暮らしているとカメムシに接する機会がほとんどないが、母方の実家である新潟に帰省した際には、頻繁にその姿を見かけた。鮮やかで美しいボディーを持つ彼らだが、その臭いは想像を絶していた。幼い私は未だかつて見たことのない昆虫との遭遇に胸をときめかせたが、そのときめきは2秒で消えた。そして2秒前の自分を猛烈に殴りたくなった。
ちなみに今回の鹿児島での大量発生の原因だが、どうやら夏季の悪天候が影響しているらしい。良質な餌場を求めたカメムシが集団移民しているそうな。Googleの予測変換でも「鹿児島」と打つと真っ先にカメムシと出てくるらしいので、暇で暇で仕方がないという方は試してみてはいかがだろうか。私は生憎アニメの鑑賞で忙しいので手が出せなそうである。残念でならない。
それにしても、何故カメムシなのだろうか。私も来世でカメムシに生まれ変わる可能性が無くもないので、なるべく非難はしたくない。しかしこれが「アゲハ蝶の大量発生」だったとしたら、少なからず喜ぶ人が居るだろう。農作物被害への対策は変わらず求められるかも知れないが、新たな観光スポットになることは想像に難くない。
やはりイメージは大事である。昔、伊坂幸太郎の本で「ゴキブリは名前が良くない」という旨の記述があったが、確かに一理ある。なにせ「ゴキ」と来て「ブリ」である。作中の登場人物も語っていたが、彼らの名前が「せせらぎ」のような爽やかな名前だったら、ここまで嫌われることはなかったはずだ。(たぶん)
カメムシは確かに臭く、およそ良いイメージには結びつかない存在である。しかし、かと言ってその存在を抹消するわけにもいかないだろう。同じ自然界に生きる仲間である。なので私は来世でカメムシに生まれ変わることがあったら、まずイメージアップから始めたいと思う。フローラルな花の香りを発すれば、人々から愛される存在になれるはずだ。
この記事をご覧になった方で、将来フローラルな香りのするカメムシと出会ったら、それは恐らく私である。「せせらぎ」のような爽やかな名前をつけて可愛がって欲しい。
※追記1
昨日からやたらと生まれ変わりの話をしているので、死期が近いのかと心配される方がいらっしゃるかもしれない。安心してほしい。私は子供の頃から不老不死を夢見ているので、恐らく死ぬことはない。
※追記2