ひきこもりろん

広告ライターからエンジニアに転職し、現在はYouTuberデビューを目論んでいる「ひきこもり志願者」が日々の妄想を書き散らかすブログ。

【31日目】実家と炬燵の日

今日は昼過ぎから恋人を連れて、埼玉県の実家に帰った。目的は自分の部屋に置き忘れてきた一冊の本を回収することである。

私の住まいから実家までは、電車でおよそ40分ほどの距離だろうか。駅からは多少歩くものの、1時間ほどで故郷の地を踏めるのは有難い。

さらに実家に帰ると、私の母上は豪勢な手料理でもてなしてくれる。今日も焼肉と茶飯ときんぴらと大根の漬物とおでん風の煮込みと焼きそばというフルコースをご馳走してくれた。メニューの組み合わせは些か珍妙な気がしなくもないが、その味付けは絶妙である。

数々の料理に舌鼓を打ち、空腹を満たした私たちは、いよいよ行動を開始しようとした。昔読んだ一冊の本。その本を探すために、私たちは再び此地を訪れたのだ。

 

しかし二階の自室に向かおうとした我々は、気付くと居間の炬燵(こたつ)で横になっていた。

私は困惑した。つい先程まで階段に向かっていたはずなのに、なぜ炬燵の中でぬくぬくと温まっているのか。恋人に至っては、優雅に珈琲を飲みながらツムツムまで始めている。

このままでは危険だ。炬燵は一般的に暖房器具として知られているが、その実態は人間からすべての気力を奪う指向性エネルギー兵器である。一度自由を奪われたが最後、そこから抜け出すことはできない。

私と恋人も、その力に抗うことは不可能だった。気付けば4時間にわたって炬燵に拘束され、食事と珈琲とツムツムを繰り返す無限の連鎖に巻き込まれた。さながらゴールド・エクスペリエンス・レクイエムである。

暦の上では、間もなく本格的な冬が訪れる。きっと多くのご家庭で炬燵の準備をされていることと思うが、その取り扱いには十分にご注意頂きたい。

結局、私と恋人は炬燵の誘惑から抜け出すことが出来なかった。世間では「着る毛布」と呼ばれる防寒具が流行しているようだが、「着る炬燵」は存在しないのだろうか。このままでは我々は月曜日を迎えても出社できなくなってしまう。

 

※追記1

炬燵のせいでブログを書く気力も根こそぎ奪われてしまった。まったく恐ろしい存在である。

 

※追記2

結局、目的としていた本を見つけることは出来なかった。あの本は一体どこに行ってしまったのだろう。