ひきこもりろん

広告ライターからエンジニアに転職し、現在はYouTuberデビューを目論んでいる「ひきこもり志願者」が日々の妄想を書き散らかすブログ。

【108日目】必殺技と口上の日

今日は朝から必殺技について考えていた。私もそろそろ良い年齢なので、必殺技のひとつぐらいは身に付けておかなければいけないと思った。

改めて考えてみると、必殺技とは恐ろしい言葉である。何せ「必ず殺す技」と書いて必殺技と読むのだ。日本のTVアニメでは毎回定番の如く必殺技が繰り出されているが、本来はここぞというタイミングで使うべきなのだろう。

そもそも何故、ヒーローたちは必殺技の名前を声高に叫ぶのだろうか。実はこれについて調べてみたところ、興味深い歴史的要因が見つかった。

技に名前をつける風習は、遡れば古代中国に由来している。実際、中国武術はかっこいい技名が多いのだが、もうひとつの特徴として「禅」の文化との密接な関係が挙げられる。

いつからか「禅」は日本にも輸入され、社会に広く普及することとなった。その時に中国武術の価値基準も合わせて取り入れられ、日本武術に大きな影響を及ぼすことになる。

さらに動作中に言葉を発する行為からは、密教の特徴も見て取れる。密教では祈祷の際に仏を現す真言を唱えたり、梵字を用いたりする。これらの文化が「必殺技」にも色濃く受け継がれているのだろう。

加えて近代においては、ヒーローの武器を模した玩具も数多く販売されるようになった。必殺技は商品名にも直結するので、覚えやすい言葉だったり、叫んで気持ちが良い言葉が多く用いられている印象を受ける。

基本的には複数の単語を組み合わせているケースが多いのだが、例えば「ライダーキック」は仮面ライダーのキックで、名前+攻撃で構成されている。「ゴムゴムの銃」は能力+攻撃のイメージで、これも分かりやすい技名である。

また、こうした組み合わせ以外に外来語を使用するパターンも多い。孫悟空の「かめはめ波」もハワイのカメハメハ大王に由来しているし、人名や作品名から名付けられた技は少なくない。

外来語を使う最大の利点は、六文字を超えたあたりから急激に「かっこいい響き」になることである。アセトアルデヒドやアクロレインのような化学物質の名前でも、そうと知らずに聞けばちょっと感じてしまう。悔しいことだが、外来語には得体の知れない魅力が秘められているのだ。

それに加えて、最近は必殺技の発動に一定の手順や口上を挟むケースが多くなってきた。分かりやすいのはドモン・カッシュの「シャイニングフィンガー」で、この技を発動する時は「俺のこの手が光って唸る、お前を倒せと輝き叫ぶ!」という口上が添えられる。まさかガンダムシリーズでこんなに熱い口上が聞けるとは思っていなかったが、今となってはあまりにも有名な台詞である。

こうした様々な文化や工夫が折り混ぜられることによって、今日の必殺技は魅力的で心惹かれる存在へと昇華している。私もそれらしい必殺技の名前をいくつか考えてみたものの、名前ばかりで中身が伴っていないことに気づき、今さら慌てて修行している。

そう言えば私の上司は「クレイジー・メガネ」の愛称で親しまれているが、これも捉えようによっては必殺技のように聞こえるかも知れない。例えば「狂乱の眼鏡」と書いてルビに「クレイジー・メガネ」と書けば、念能力の必殺技のようである。実に羨ましい。

そしてこんな不毛な妄想を繰り広げているうちに、休日がそろそろ終わろうとしている。早く私の必殺技……「エターナル・ウィークエンド」を完成させなければならない。本格的に仕事が始まってしまう前に。

 

※追記1

ドモン・カッシュは『機動武闘伝Gガンダム』の主人公である。余談だが、物語後半の必殺技である「ゴッドフィンガー」は、「俺のこの手が真っ赤に燃える!勝利を掴めと轟き叫ぶ!」という台詞に変更されている。声優は現在スネ夫役も務める関智一さん。

 

※追記2

作者は大変なことになってしまったが、『るろうに剣心』の必殺技は魅力的なものばかりである。「二重の極み」の練習に励んだ男子も多いのでは無かろうか。私は今でもビリヤードをするたびに「牙突」の練習をしている。