ひきこもりろん

広告ライターからエンジニアに転職し、現在はYouTuberデビューを目論んでいる「ひきこもり志願者」が日々の妄想を書き散らかすブログ。

【154日目】レベリングと偉業達成の日

金メダル


今日は朝からネットニュースに目を通していた。世間では相変わらず痛ましい事件が続いているようで、出勤前だと言うのに憂鬱な気分になる。

このままでは仕事に支障が出かねないので、気分転換のためにエンターテインメント系の記事を検索した。すると海外のニュースサイトに、懐かしの初代『キングダムハーツ』に関する記事が投稿されているではないか。

スクウェア・エニックスの『キングダムハーツ』は、私も大好きなゲームだった。あの「ファイナルファンタジー」と「ディズニー」のキャラクターが共演する夢のようなタイトルで、プレイヤーは島で暮らす少年・ソラを操って大冒険の旅に出る。

ジャンルとしてはアクションRPGなので、当然「レベル」という概念も存在する。敵キャラクターを倒すと経験値が手に入り、それが一定値に達することで、キャラクターの各種パラメータが強化されるのである。これは大半のRPGに共通するシステムなので、ご存知の方も多いことだろう。

一般的に、高いレベルになるほど次のレベルまでの必要経験値は上がっていく。キャラクターを強化するためには、それなりに強い敵と戦い続け、多くの経験値を手に入れなければならない。

それは『キングダムハーツ』においても同様なのだが、今回のニュースサイトで発見した記事には、驚くべき情報が記載されていた。ある外国人のプレイヤーが、物語のスタート地点である「デスティニーアイランド」でレベルを最大の100まで上げ切ったというのだ。

プレイヤーの名はAaroneous Gaming氏。キングダムハーツ』には「Tech」というプレイヤースキルに合わせて経験値が増加するシステムが存在するため、これを利用してレベリングを行ったらしい。

「Tech」を稼ぐには攻撃を弾くなど、対峙する敵の動作に合わせたリアクションが求められる。氏は果敢にも敵の懐に飛び込むことで、ひたすら敵の攻撃を弾き続けたとのことだ。ちなみに1回の「Tech」で稼げる経験値は僅か6ポイント。レベル99から100に上げるだけでも平均で974117の経験値が必要になるので、実に162353回の「Tech」を成功させなければならない。ここまで来ると苦行である。

この挑戦は今年の1月6日から開始され、ライブストリーミング配信サイト「Twitch」でもプレイ動画の配信が行われたらしい。初めのうちは挑戦を楽しむ様子も窺えるが、間もなく泣き言やため息に包まれ、ゲームで遊んでいるとは思えない程に陰鬱な表情が続く。

そして去る2月19日、彼は遂にレベル100まで到達し、動画のコメント欄は歓喜に包まれたとのことだ。所要時間は210時間。恐らく普通にクリアするなら30時間もあれば十分なゲームなので、常人の7倍の時間をかけて達成した偉業と言える。

私はこの記事を読んで、学生時代に遊んだ『.hack』というゲームを思い出した。この作品は4部作の構成となっており、前作で育てたキャラクターを次のシリーズに引き継げるという特徴を持っていた。

「それなら1作目でレベルを上げてしまえば、次回作以降は難なくクリア出来るのでは?」と思われるかも知れないが、流石にそこまで甘い話では無い。

1作目はレベル35まで達すると、どんな強敵を倒しても経験値が1しか手に入らない仕様だった。そのため多くのプレイヤーはレベル35の段階でボスを倒し、次回作の発売を待っていたのだが、私の同級生は違った。

彼は今回のAaroneous Gaming氏と同様、最初のダンジョンでひたすらにレベリングを続け、シリーズ1作目にしてレベル100に到達したのである。

友人は「これで次回作以降の攻略が楽になる」と喜んでいたが、話はこれで終わらなかった。この『.hack』というゲーム、ストーリーを進めるためには「ウィルスコア」というアイテムが必要になる。

これは単純に敵を倒すだけでは絶対に入手できず、敵のHPをある程度削ってから主人公の「データドレイン」というスキルを使用することで初めて手に入るのだ。

しかし友人は既にレベル100まで到達してしまったので、どんな敵も一撃で粉砕できる程の攻撃力を身に付けてしまった。まさにワンパンマン状態である。

仕方なく彼は道具屋に通いつめ、プレイヤーレベルに依存しない魔法攻撃のアイテムを買い続けた。そして敵のHPを慎重に削り、頃合いを見て「データドレイン」を発動するというトリッキーなプレイを余儀なくされたのだった。

今回のレベリングも確かに偉業ではあるのだが、開発者の用意した「面白さ」とは完全にかけ離れている気がする。もちろん見方を変えれば、1本のゲームで色々な遊び方が楽しめると言えるが、私は普通に遊びたい。162353回も敵の攻撃を弾いていたら、レベルが上がる前に自分の脳が弾け飛びそうである。

 

※追記1

そんなことを書きながらも、今遊んでいるアプリではひたすらレベルを上げる日々が続いている。成長を実感できるのは楽しいことだが、基本的には「作業」に近いので、最近はオート操作のまま放置している。ゲーム本来の楽しさとは何なんだろうか(哲学的)。

 

※追記2

.hack』シリーズはアニメや漫画・小説などのマルチメディアで展開され、多くのファンを獲得することに成功した。私は今でも小説版の続編を心待ちにしている。ちなみに小説版の1作目が発売されたのは、2003年5月のことである。間もなく15年経つと思うと恐ろしい。