【184日目】ドライカレーと口論の日
先日、会社の防災備蓄食料の賞味期限が間近になったため、大量のビスコが放出されることになった。それに引き続き、今月はドライカレー味のごはんが配布されるらしい。
何を隠そう、私はドライカレーが大好物である。小学校の給食で初めて口にした瞬間、その味の虜になってしまった。
それから私は長い時間をかけて「究極のドライカレー」を探し求めてきたが、未だに給食で食べたドライカレーを超える味に出会えていない。このようなことを書くと全国のカレー屋さんから怒られそうな気もするが、あの時食べたドライカレーは本当に絶品だったのだ。
しかし一口にドライカレーと言っても、その種類は様々である。私が給食で食べたのは挽肉とみじん切りにした野菜を炒めたもので、キーマカレーの一種に分類される。
私はこの料理こそがドライカレーだと信じきっていたのだが、ある日友人の家に遊びに行った際、ドライカレーのもう1つの姿を目にすることになる。友人が夕食に用意してくれたのは、米をカレー風味で炒めた炒飯のような代物だったのだ。
私は憤怒した。「これはドライカレーではなく、カレー炒飯である。私の知っているドライカレーとは似ても似つかないのである」と。
勢い良く友人に詰め寄ったが、彼は「市販のドライカレーの素を使ったのだから、これは紛れもなくドライカレーである。貴君の言うドライカレーこそ紛い物なのである」と反論してきた。
それ以来、私は彼と口を利かなくなってしまった。馬鹿馬鹿しいと思われるかも知れないが、それほどまでにドライカレーとは崇高な存在で、魅力的にあふれた料理なのだ。
それから数年の月日が流れ、我々は共通の友人を介して再会することになる。その日の目的は、誰もが納得できる「本当のドライカレー」を見つけることだった。
公平を期すために、共通の友人が案内役を買って出る。彼に先導されて辿り着いたお店は、いかにも歴史の長そうな個人経営の洋食店だった。
我々は揃ってドライカレーを注文し、料理の提供を待った。果たしてこの店のドライカレーはキーマカレーなのか、カレー炒飯なのか。厨房から垣間見れるシェフの姿に、我々の視線は釘付けになった。
そして、ついに運命の瞬間である。運ばれてきた料理を目にして、私と友人は言葉を失うことになる。それは、キーマカレーでもカレー炒飯でもなく、言うなればカレーピラフに近い料理だったのだ。
この店を紹介してくれた友人曰く、これこそが本当のキーマカレーらしい。当然私たちは異論を唱え、結局関係は改善されないまま喧嘩別れすることになった。
一体、本当のドライカレーとはどんな料理なのだろうか。謎は深まるばかりである。
※追記1
本当はカレー炒飯もカレーピラフも大好きです。
※追記2
給食のドライカレーをcookpadで調べたら、親切な人がレシピを紹介してくれていた。私の大好きなキーマカレーのタイプである。週末に時間が出来たら作ってみようと思う。