【210日目】大量出血と動転の日
男には人生で泣いていい時が3度ある。父親を失った時、母親を失った時、そしてタンスの角に足の小指をぶつけた時である。
つい先程の話だが、私はうっかりベッドの角に足の小指をぶつけてしまった。悶絶したのは言うまでもないが、今回はタンスではなくベッドにぶつけたので、泣いてはいけないのである。激しい後悔の念に苛まれながらも、歯を食いしばって涙を堪えた。
それから間もなくして痛みは引いたのだが、お手洗いに行こうとしたところで足に違和感を覚える。何か糸のようなものを引き摺って歩いているような気がして、視線を足元へ下ろした。
結論から言うと、その糸の正体は私の皮膚であり、先程ベッドにぶつけた箇所に大きな傷が出来ていた。剥がれかけた皮膚を取り除くと、そこから大量の鮮血が溢れてくる。普段の鼻血ではまったく動じない私だが、今回ばかりは慌ててしまった。何せ一向に止まる気配が無いのである。
ひとまず洗面所に置いてあるガーゼと包帯で止血しようとしたのだが、気付けば私は歯磨きを始めていた。完全に動転している。うがいを終えてから部屋に戻ると、夥しい血痕が残されていて我に返った。
何とか止血してから職場の仲間にも怪我の報告をしたのだが、室長からは「グッジョブ」的な絵文字が送られてくる。一体何が「グッジョブ」なのだろうか。この床の惨状を目の当たりにすれば、全然グッジョバない状況だとお分かりになるはずだ。
幸い、痛みはそれほど感じないので重症では無さそうだが、ベッドの角には気をつけようと思った。それから気が動転しても歯磨きを始めたりしないように、医療道具は自室に置くことを決めた。
※追記1
怪我をして後悔した一方で、「あ、今日の記事のネタにしよう」とすかさず考える自分が居た。もはや習慣を通り越して呪いじみている。