ひきこもりろん

広告ライターからエンジニアに転職し、現在はYouTuberデビューを目論んでいる「ひきこもり志願者」が日々の妄想を書き散らかすブログ。

【288日目】緊張とエンドレスエイトの日

明日は会社で大きなプレゼンテーション大会があるので、夕方から簡単なリハーサルに参加した。

既に多くの方がご存知かと思うが、私は人前で話すのが大変苦手である。大勢の視線が集まるだけでも恐ろしいのに、その上で発言まですることになろうとは。想像しただけで吐瀉物を撒き散らしそうである。

何とか緊張を和らげるために、手のツボを押してみたり素数を数えたり深呼吸したりと色々試したが、動悸は激しくなる一方である。

「いっそこのまま明日が来なければ良いのに」と馬鹿なことを考えていたら、うっかり電車内で眠りこけてしまった。危うく目的地を通り過ごしてしまうところだったが、停電により電車が遅延していたため、何とか事なきを得る。

胸をなでおろして周囲を見渡してみると、何だか外が妙に明るい。はて、私は仕事を終えて帰るところだったような気がするが、これは一体どういうことだろうか。もしかすると今までのことは全て夢で、本当はこれから出社するところだったのかも知れない。

試しに時刻を確認してみると、時計は午前10時を指していた。やはり先程まではずっと夢を見ていたのだ。プレゼンテーション大会までの期限が延びて、私は妙に晴れ晴れとした気分になる。既に遅刻が確定しているので浮かれてもいられないが、吐瀉物を撒き散らすよりかはマシである。夢で良かった。

乗り換えのために電車を降りると、文庫本を抱えた小柄な女子学生がふらふらと倒れ込んでいた。私は心配になって声をかけると、どうやら彼女は時間のループに巻き込まれてしまったらしく、ずっと同じ日を繰り返していると言う。「そんな馬鹿な話があるか」と私は呆れてしまったが、他の人にはその記憶が無いだけで、7月5日は既に15498回目だそうだ。

彼女があまりにも深刻そうに話すので、私もついつい真剣に聞き入ってしまう。一体どうしてそのようなループが発生したのか尋ねてみると、どこかの誰かが「いっそこのまま明日が来なければ良いのに」と願ったのが発端らしく、世界中の人までもが時間のループに巻き込まれてしまったそうな。

もっと詳しく聞きたいところではあったが、このままだと午前中の会議に間に合わなくなる可能性があるので、しぶしぶその場を後にした。今日はプレゼンテーション大会のリハーサルもあるので、早く会社に行って自分の仕事を片付けなければならないのである。明日のことを考えると些か憂鬱だが、先程の女子学生の話が本当ならば明日は永遠に来ないはずなので、少し気が楽になった。

どこの誰かは知らないが、「いっそこのまま明日が来なければ良いのに」と願った人に少しばかり感謝したい。

 

※追記1

同じ日が繰り返すと言えば、涼宮ハルヒの「エンドレスエイト」を思い出す。2009年にアニメ化されたが、あれは凄い話だった。何せ本当に毎回ループして同じストーリーが繰り返されるのである。原作の長さから1~2話程度で終わるだろうと考えていたが、まさか8話連続で同じような話を見せられるとは思わなかった。リアルタイムで視聴していた人は肝を抜かれたと思う。