ひきこもりろん

広告ライターからエンジニアに転職し、現在はYouTuberデビューを目論んでいる「ひきこもり志願者」が日々の妄想を書き散らかすブログ。

【218日目】親友と郷愁の日

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友達が少ないことで有名な私だが、中学校時代には毎日遊ぶ親友が居た。高校に進学してからは疎遠になってしまったが、時々連絡を取っては一緒に初詣に出掛けたり、ヱヴァンゲリヲン新劇場版を観に行ったり、合コンに繰り出したりした。

最後に会ったのは5年ほど前になるが、今でも地元に帰る度、彼と遊んだ日々を思い出す。時に喧嘩をすることもあったが、その数だけ仲直りをして、友情を深めてきたように思う。私にとっての青春は、彼なくして有り得なかったのである。

そんな彼のお母上が、先日病気でお亡くなりになったらしい。その話を聞いて真っ先に思い出したのは、ある日の下校時の会話だった。

「もしも父さんや母さんが死んだら、めちゃくちゃ泣いて、そのまま立ち直れなくなるだろうなぁ」

夕焼け空を背景に、彼はポツリと呟く。私は「そんなの、まだまだずっと先の話だよ」と彼を励ましたが、どこか悲しげな表情を浮かべていた気がする。

そして、遂に恐れていた「その日」が訪れてしまった。私は彼にどんな言葉をかければ良いのか分からず、連絡が取れないまま数日間を過ごしてしまった。5年間も会っていなかった私が急に連絡して、今の彼に疎まれるのが怖かったのだ。

しかし、このまま彼との関係が疎遠になっていくことを考えると、その方がよっぽど恐ろしかった。久々にメールソフトを起動し、慎重に文面を整えた上で、送信ボタンを押す。その刹那で返信が届き、送り主は「MAILER-DAEMON」だった。どうやらメールアドレスを変更していたらしい。

やむを得ず、私はSMSを送ることにした。もしも電話番号が変わっていたら万事休す。中学校時代の友人たちに片っ端から連絡を取り、彼の連絡先を訊き出さなければなるまい。

しばらくスマートフォンを握って返信を待っていると、SMSの受信が通知される。私は緊張して文面を開いたが、そこには久々の連絡を喜んでいる旨が記載されていた。勇気を振り絞って送ったSMSは、間違いなく彼に届いていたようだ。

こうなると私たちの会話は止まらなくなり、LINEのIDを交換して近況を報告しあった。プロフィールに表示された彼の顔写真を見ると、懐かしさのあまり泣き出しそうになる。

どうやら今は近所に住んでいるなので、ゴールデンウィーク中に時間が合えば彼との再会を果たしたい。お互い歳を取ってしまったが、彼と再会することを思うと中学時代のように心が踊る。友情は不滅なのである。