ひきこもりろん

広告ライターからエンジニアに転職し、現在はYouTuberデビューを目論んでいる「ひきこもり志願者」が日々の妄想を書き散らかすブログ。

【88日目】北極ラーメンと発汗の日

今日は珍しく友人が家に遊びに来た。私が所有する巨大なテレビで映画を観たかったらしい。何本かのDVDをレンタルして持参してきたが、その全てが私の加入している定額制動画サービスで見られる作品ばかりだった。

いくつかの作品を視聴した後、小腹が空いたので2人で食事に出掛けた。私は寿司が食べたかったのだが、彼はラーメンを激しく所望していたので、蒙古タンメン中本を訪れることにした。

蒙古タンメン中本はTVなどのメディアでも度々紹介される人気ラーメン店である。日曜の昼間ということで混雑が予想されたが、思いのほか空いていたので有難かった。

しかし事件は唐突に起きる。券売機で私がメニューを選んでいると、友人はあろうことか激辛の「北極ラーメン」のボタンを押してしまったのだ。

私は何度か中本を訪れているが、注文するのは決まって蒙古タンメンだった。ご存知でない方のために説明すると、この蒙古タンメンも十分に辛いラーメンである。店内のメニュー表記によると、辛さのレベルは5に設定されている。

一方で、友人が勝手に注文した北極ラーメンはレベル9に相当する。スープは鮮やかな赤色で、危険な食べ物であることがひと目で分かる。少なくとも胃腸が弱い私にとっては鬼門である。

私は彼に文句を言いたかったが、内心で「1度は食べてみたい」と考えていたので、この機会に便乗することにした。数時間後にトイレの住人になることは想像に難くないが、幸い今日は休日である。会社に迷惑をかけることもない。

席に案内されて待つこと数分。店員のお姉さんが運んできたラーメンを見て、私と友人は恐れ慄いた。想像を超える赤さである。まるで食べる者への危険信号を自ら発しているようだ。
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こうなったら後には引けないので、私と友人は箸を取った。テーブルにティッシュを配置し、水が十分にあることを確認してから、実食開始である。

激辛系のメニューを食べ切るためには、いくつかの要点を押さえておく必要がある。北極ラーメンの場合、まず最初に処理するべきは麺の上に盛り付けられた「もやし」である。

もやしは唯一、この品の中で激辛スープに浸かっていない。もしもこれが一度でもスープに触れようものなら、後々に食べるのが辛くなることは分かっていた。

次に大切なのは、どんなに辛くても水を口にしないことである。確かに水を飲めば舌の痛みは治まるが、次の一口を食べた時の辛さが激増する。安定して食べ切るためには、黙々と箸を動かすしか無いのだ。

そして食べ方にもコツがある。それはずばり、麺を啜って食べないこと。本来、辛さとは味覚ではなく痛覚に分類される。香辛料の刺激は唇にも大きな負担を与えるため、なるべくパスタのように一口大にまとめてから口の中へと放り込む。

これらの点を押さえるだけで、北極ラーメンの攻略は大分楽になった。もちろん辛いことは辛い。麺を半分ほど食べた頃から異様に汗をかき、ティッシュを大量に消費した。友人は鼻水が止まらなくなったようで、一口食べては鼻をかんでいた。

こう書くとただの危険な食べ物に思われるかも知れないが、肝心なのは味である。極端な味付けであることに違いはないが、スープを飲んでみると意外な美味さに驚く。辛みと旨みのバランスが完璧なのだ。

結局私と友人は、20分足らずで北極ラーメンを完食することに成功した。初めての挑戦にしてはなかなかの成果である。満腹感も然ることながら、達成感がそれを上回っていた。
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しかし私たちが攻略したのは、あくまで通常の北極ラーメンである。実はこの北極ラーメンにも段階があり、新宿店には辛さ10倍の北極ラーメンも存在するらしい。

その話を友人にも伝えると、彼は意気揚々と休みのスケジュールを確認し始めた。まさか挑戦するつもりなのだろうか。控えめに言って、正気を疑う。

 

※追記1

北極ラーメンの残した爪痕は大きく、この記事を書きながら味を思い出しただけで、頭皮から汗が流れ出てきた。脳裏に焼き付くインパクトである。

 

※追記2

流石にスープを飲み干すことは出来なかった。でもそれで良かったと思う。あの赤いスープを体内に取り込んだら、私の身体の水分はすべて汗となって流れ出るだろう。真冬の脱水症状にはなりたくないのである。