【87日目】パーツモデルとジョジョオタの日

最近、歳のせいか手が荒れやすくなった気がする。有効なハンドケアの方法を知りたかったので、以前に知り合ったパーツモデルの方からお話を伺うことにした。

まず普段の手の洗い方についてだが、決して洗い過ぎないことが重要だと言う。ハンドソープにも注意が必要で、使い過ぎると皮膚の油分が失われてしまうそうだ。

また、愛用しているハンドクリームの使い方についても指摘を受けた。私は適量を手に取ってそのまま塗りたくるだけだったが、より効果を実感したければ「一度温めた方が良い」とのこと。両手で包み込むようにして肌の温度に近づけると、伸びや浸透力がまるで違うらしい。

さらに彼女の場合は顔のお手入れと同様、化粧水や美容液・乳液も欠かさずに使うと言う。確かに顔が若々しくても手元が老け込んでいる人は多いので、入念なケアは大切である。

私は今日学んだことを必死に書き留め、彼女に感謝の言葉を告げた。「手の形はとても綺麗なので、しっかりケアして下さいね」と言われたので、「ちゃんとお手入れすれば私もパーツモデルになれるだろうか」と阿呆な質問をした。

彼女は私の手を改めて眺めると、申し訳なさそうな表情を浮かべて首を横に降った。どうやら、左手についた傷跡が問題らしい。

この傷跡は中学生の頃に糸鋸で切ったものだった。この歳まで消えることが無かったので、恐らく一生残るに違いない。

しかし右手については何の問題もない。かつて職場の女性からも「手の形は好き」と褒められたほどである。手の形「は」という言い方に若干のひっかかりを感じるが、とにかく自慢の右手なのである。

「いっそのこと両方の手が右手になれば良いのに」と漏らすと、パーツモデルの彼女は激しく否定した。

「そんなことしたら、J・ガイルと間違えられてポルナレフに命を狙われますよ！」

現役パーツモデル（♀）、まさかのジョジョオタ。

※追記1

J・ガイルは『ジョジョの奇妙な冒険』の第3部に登場する敵キャラで、両手が右手の男である。待ちガイル、俺ガイルと並んで世界三大ガイルとしてギネスブックに登録されている。

※追記2

昔読んでいた小説で、手首を切り落としてコレクションする猟奇殺人犯の話があった。世の中には色々な趣味嗜好があるのだと感心した。