ひきこもりろん

広告ライターからエンジニアに転職し、現在はYouTuberデビューを目論んでいる「ひきこもり志願者」が日々の妄想を書き散らかすブログ。

【224日目】傘とシャンプーハットの日

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世間では明日から本格的なゴールデンウィークの始まりかも知れないが、9連休を取得中の私にとっては恐怖の折り返し地点に来てしまった。

ここでオプティミストなら「まだ半分もある」と考えるのだろうが、私のようなペシミストは「あと半分しかない」と悲観的に捉えてしまう。

そこで考え方を変えて、「あと半分が終われば楽しい仕事が始まる」と捉えることにした。するとどうだろう。先程までの憂鬱さが綺麗さっぱり無くなって、仕事への期待感に満ち溢れてくる。実に理想的な社畜である。

しかし社会人ともなると9連休を取得する機会は滅多にないので、残りの休日も満喫したいのが本音だった。たまにはどこかに出掛けようかとも思ったが、今夜から天候が不安定になるようなので躊躇ってしまう。

以前にも話したかも知れないが、私はとにかく「傘を持つ」という行為が嫌いで、少しぐらいの雨なら濡れて歩くことを選ぶ。その結果として体調を崩すわけだが、傘に対する抵抗感は生半可なものではなかった。

そもそも21世紀のご時世に「片手で持って雨風を防ぐ」という構造が原始的である。ドローンが宅配便を始めるようなご時世に、何故やつらは革新的な発展を遂げないのだろうか。ドラえもんの「カサイラズ」のように、身体に吹き付けるタイプの傘が誕生しても良さそうなものだが。

そんな話を大学時代の友人に聞かせたところ、「確かにそうだ」と納得した様子だった。ちょうど彼は研究職に就いていたので、空いた時間に試作品を開発すると約束してくれた。

私は自らの意見に賛同してくれたことをうれしく思ったが、その反面、彼に開発を一任することが不安だった。それと言うのも、彼は少々阿呆というか、世間と感覚がズレた部分を持つからである。

例えば仲間うちで大阪旅行の計画を立てている際に慌てて「パスポート作らなきゃ!」と言い出したり、ガーターベルトのことをロードローラーのような重機だと勘違いしていたり、着ぐるみが市販されていることを知らずにぬいぐるみの中身をくり抜いたりしていた。

馬鹿と天才は紙一重とも言うが、彼の場合は紙一重で馬鹿だと私は思う。しかしいずれにしても常識の範疇を超えるような発想が無ければ、傘は一向に進化を遂げることなく淘汰されていくだろう。私はひとまず彼の設計書が届くのを待つことにした。

そして先日、ようやく彼からメールが届いたのだが、そこには小学生の絵のような画風でで巨大なシャンプーハットを被った人間が描かれていた。

確かにこれなら、「片手をふさぐことなく雨風を避ける」という当初の要件は満たしている。しかしどうして頭頂部を解放したままにしたのだろうか。もしかして彼は雨でシャンプーも出来て一石二鳥とか考えたのだろうか。そもそも人間の肩幅を超えるようなシャンプーハットの半径では、頭を洗おうにも手が届かない。

私はそっとメールソフトを開いて、再考の余地ありとだけ伝えた。果たして次はどんな奇抜なアイデアが送られてくるだろうか。